昔話になった大分の場所たち

別府湾と湯けむりが立ちのぼる町並み

日本一の温泉県・大分。

今では「癒し」や「観光」のイメージが強いこの土地にも、かつて多くの人でにぎわい、時代の最先端を走っていた場所がありました。高度経済成長、炭鉱の町、港町、遊園地——。

時代の流れとともに役目を終えたもの、姿を変えた場所、今なお現役で在り続けるものまで様々です。
そんな大分を支えた人気スポットが今では地元の人の昔話として語られる存在になっています。

今回は、大分県内に残る「昔話になった場所」を訪ね、風景の奥に眠る物語をひもときます。
派手さはなくても、確かに心に残る——そんな時間の旅へ出かけてみましょう。

目次

別府ケーブルラクテンチ|笑い声が響いていた山の遊園

【別府市】

別府の山の斜面に広がる、どこか懐かしい遊園地「別府ラクテンチ」(大分県別府市流川通り18丁目)。
昭和4年に開園し、九州最古級の山上遊園地として長い歴史を誇ります
かつては修学旅行生や家族連れであふれ返っていました。

別府ラクテンチの正面入口の外観、山上遊園地の建物が見える風景


そんな風景は今も続いています。
ケーブルカーで山を登る非日常感や、アヒルの競走、レトロな遊具、孔雀やヤギなど動物とのふれあいが訪れる人々を楽しませます。遊園地のなかにある温泉で汗を流すのも、ラクテンチならではの体験です。

昭和の遊びと山上ならではの景観、動物、温泉など——最新アトラクションとは異なる唯一無二の魅力が、今も訪れる人々の記憶の引き出しをそっと開きます。

今も人気が高く、営業を続けているラクテンチでの遊びの記憶は、昔話のように大人から子供たちへと語り継がれています。

施設名別府ケーブルラクテンチ
住所〒874-0820 大分県別府市流川通り18丁目(MAP
アクセスJR別府駅(東口)より「亀の井バス」の16番に乗車、流川通り12丁目で下車
別府ICから車で約11分
大分空港から車で約50分
電話番号0977-85-8888
営業時間10:00〜16:00 ※土日祝日は17:00まで(変動あり)
定休日あり(不定期)⇒ 公式営業カレンダー
駐車場あり(有料)

※入園料等詳しくは⇒ラクテンチ公式料金ページからご確認下さい。

佐賀関の製錬所と港町|白い煙が町の時間を刻んだ場所

【大分市・佐賀関】

かつて佐賀関は、製錬所の白い煙とともに生きる港町でした。1910年代に建設された佐賀関製錬所は、この地の産業の中心として町の人々の暮らしを支え、シンボルとなる大きな煙突は長く地域の風景を刻みました。港には船が行き交い、商店街では仕事終わりの人々がにぎやかに行き交ったといいます。

関アジ関サバで有名な佐賀関の海と向こうに見える島の風景

時代が移り変わる中で、町の風景は静かになりましたが、佐賀関製錬所は今も現役の製錬所として金属・リサイクル事業に取り組みつつ地域とともに歩んでいます。銅やリサイクル原料を扱う工程では最新の技術も取り入れられ、環境や人々の暮らしに配慮した取り組みが進められているのも特徴です。

夕暮れの港を歩けば、潮の香りとともに、かつての活気と今の静けさがふわりと交差するかのような時間が流れています。港町としての誇りや、人々が刻んできた暮らしの記憶は、まるで昔話のように、今も地域の空気の中に息づいています。

鯛生金山(たいおきんざん)|黄金の町に残る坑道の昔話

【日田市・中津江村】

鯛生金山は 明治時代に発見され、昭和まで90年以上にわたって金の採掘が行われた歴史ある金鉱山(〒877-0302 大分県日田市中津江村合瀬3750)です。最盛期には坑道が延び110kmに達し、周囲には鉱山町が形成されました。人々は黄金を求めてこの地に集い、映画館や飲食店が並ぶ賑わいを見せていました。

鯛生金山の坑道内部、ライトアップされたイルミネーション

しかし戦後の経済状況の変化や 金価格の低迷、採掘コストの増加 といった背景から、1972年に閉山を迎えました。

閉山後の坑道は、1983年に「地底博物館 鯛生金山」として生まれ変わり、当時の採掘作業の様子や坑道の世界を体験できる観光スポットになっています。砂金採り体験や歴史展示は、まるで 昔話の世界に足を踏み入れたような感覚 を訪れる人に届けています。

施設名道の駅 鯛生金山(たいおきんざん)
住所〒877-0302 大分県日田市中津江村合瀬3750(MAP
アクセス日田I.Cから車で約60分
九重I.Cから車で約60分
電話番号0973-56-5316
営業時間3月~11月9:00~17:00 12月~2月10:00~16:30
※地底博物館見学、砂金採り体験の最終受付時刻は営業終了時刻の30分前まで
定休日水曜日
駐車場あり(大型10台/乗用車130台 EV急速充電スポット完備)

耶馬溪・青の洞門周辺|観光バスが列をなした渓谷

【中津市】

紅葉の名所として知られる耶馬溪。昭和の観光ブーム時代には、観光バスが連なり、土産物店には全国から訪れた団体客で賑わったといいます。当時のにぎわいは、今の静かな渓谷からは想像できないほどでした

耶馬渓の山に広がる美しい紅葉

時代が移り変わった今、青の洞門を抜け、川のせせらぎや渓谷の風景に耳を澄ませば、そこにはまるで物語の舞台のような深みある時間が流れています。観光地としての楽しみはもちろん、静けさの中で訪れる人々に、昭和の賑わいの面影や自然の息吹をそっと伝えてくれます。

耶馬溪の風景は、今も人々の心に静かに息づき、訪れるたびに新たな昔話の一ページを開いてくれる場所です。

施設名青の洞門
住所〒871-0202 大分県中津市本耶馬渓町曽木(MAP
アクセス日田I.Cから車で約60分
九重I.Cから車で約60分
電話番号0979-52-2211 (中津市 本耶馬渓支所)
営業時間24時間
定休日なし
駐車場あり(無料)

まとめ

時間が語り続ける、大分の風景へ

にぎわいが静まった場所は、決して「終わった場所」ではありません。役目を終えたからこそ、土地は静かに本当の表情を見せてくれます。

昔話になった大分の場所たちは、過去を懐かしむためだけに存在しているわけではありません。今を生きる私たちに、「変わること」「受け継ぐこと」の大切さをそっと伝えてくれます。

次に大分を旅するときは、少し足を止めてみてください。そこには、地図には載らない物語が、今も静かに息づき、まるで昔話のように語りかけてくれるでしょう。

参考サイト

別府ケーブルラクテンチ https://rakutenchi.jp/access/

鯛生金山 https://taiokinzan.jp/

写真提供:大分市観光協会 https://www.oishiimati-oita.jp/

     中津耶馬渓観光協会 https://nakatsuyaba.com/

     大分県観光情報公式サイト https://www.visit-oita.jp/

よかったらシェアしてね!

コメント

コメントする

目次