色で巡る別府地獄めぐり──大地が描く“温泉の絶景”を訪ねて

大分県別府市の地獄の1つの海地獄。湯気が立ち上るコバルトブルーの湯色のアップ

別府には、海地獄、血の池地獄、龍巻地獄、鬼石坊主地獄、かまど地獄、鬼山地獄、白池地獄7つの地獄があります。これらを巡る観光ルートは「別府地獄めぐり」と呼ばれ、色や特徴ごとに楽しめるのが特徴です。


今回は、特に色の際立つ4カ所の地獄をピックアップして詳しくご紹介します。

目次

色で巡る別府地獄めぐり─ 色が語る、大地の神秘をめぐる温泉旅 ─

大分県別府市、あちこちから湯煙が立ちのぼる温泉地の夕方の風景

大分県・別府市。湯けむりが立ちのぼる特徴的な街並みは、他にはない温泉都市ならではの風景です。なかでも観光の中心となる「別府地獄めぐり」は、自然が生み出した色彩と熱気が織りなす景観です。
この記事では、7つの地獄の中でも特に印象的な”色”と”噴気”に注目しながら、自然がつくりだす仕組みを説明します。写真とともに巡る地獄旅を通して、この場所の特徴を感じていただけるはずです。

なぜ「地獄」と呼ばれてきたのか

別府の鉄輪・亀川一帯では、千年以上も昔から熱湯・熱泥・噴気が噴き出し、近づくのも困難な土地でした。『豊後国風土記』にもその様子が記されており、危険で不気味な光景を人々が”地獄”と呼んだとされています。
現在では安全に整備され、昔の面影を残しながらも観光名所として多くの人が訪れています。

『豊後国風土記』の見開きページ。古代の別府の様子が記された書物

※国立公文図書館デジタルアーカイブ
豊後国風土記

地獄をつくる地熱のチカラ

別府の地獄は、地下の熱源で温められた地下水が地表へ噴出する地熱現象です。火山地帯である別府では、この地熱活動が特に活発で、噴気・熱泥・熱湯といった多様な姿で現れます。これらが組み合わさることで、それぞれの地獄が個性的な景観を形づくっています。

別府の路地裏。側溝から湯気が立ち上る温泉地ならではの風景

【青】海地獄──吸い込まれるようなコバルトブルー

別府地獄めぐりの代表格「海地獄」は、その名のとおり海のような鮮やかな青色の池を持ちます。温度は約98℃です。

鮮やかなコバルトブルーの海地獄。熱気とともに湯気が立ち上る別府の名所

この青は、温泉に含まれる硫酸鉄などの成分が光を散乱させることによって生まれる色です。可視光のうち短い波長(青)が強く散乱されることで、池全体が美しいコバルトブルーに見えます。
湯けむりに包まれながら揺れる青は、写真で見ても魅力的ですが、実際の迫力は格別です。​

海地獄の名物・楽しみどころ
  • 鮮やかなコバルトブルーの温泉池(硫酸鉄などの成分により青く見える。時間帯や湯けむりの量で色の印象が変化)
  • 大鬼蓮(オオオニバス)(園内では南米原産の大鬼蓮を栽培。夏季には直径1mを超える葉が見られる)
  • 足湯(無料)
  • 地獄蒸しグルメ(温泉の蒸気を利用した温泉卵やプリンなどを販売)
アクセス情報
名称海地獄
住所大分県別府市鉄輪559-1(MAP
アクセスJR別府駅から亀の井バス「海地獄前」下車すぐ
電話番号0977-66-0121​
営業時間8:00〜17:00(年中無休)
定休日大人450円/小人(小・中学生)200円
駐車場あり(無料)

※※情報は2026年2月時点です。詳細は海地獄公式サイトでご確認ください。

【赤】血の池地獄──自然が生み出した深紅の温泉

深紅に染まる血の池地獄。赤い湯面から湯気が立ちのぼる様子

古くから知られる天然地獄「血の池地獄」。池一面が真っ赤に染まる景観は、酸化鉄を含む熱泥が沈殿することで生まれます。

血の池地獄の名物・楽しみどころ
  • 日本最古の天然地獄(『豊後国風土記』に記述があるとされる。酸化鉄を含む熱泥が赤色を呈す)
  • 真紅の温泉池(鉄分を多く含む熱泥が沈殿。天候により色味が変わることもある)
  • 血の池軟膏(温泉の成分を活用して作られた皮膚用軟膏。第2類医薬品)
  • 展望スペース(池全体を見渡せる撮影スポットあり)​
アクセス情報
名称血の池地獄
住所大分県別府市野田778(MAP
アクセスJR別府駅から亀の井バス「血の池地獄前」下車すぐ
電話番号0977-66-1191​
営業時間8:00〜17:00
料金大人450円/小人200円
駐車場あり(無料)

※情報は2026年2月時点です。詳細は血の池地獄公式サイトでご確認ください。

【白/青白】白池地獄──温度差が生む”乳白色の変化”

乳白色の湯面が広がる白池地獄。湯気が静かに立ちのぼる風景

白池地獄は、噴出直後は無色透明です。しかし池に流れ落ちると温度と圧力が下がり、水中のシリカが影響することで乳白色のような淡い青白さを帯びます
池の周囲は和風庭園が整えられており、静かな雰囲気の中で鑑賞できます。​

白池地獄の名物・楽しみどころ

  • 青白く変化する温泉池(噴出直後は透明。温度が下がることでシリカ(ケイ酸)が影響し、青白い乳白色に見える)
  • 和風庭園(池の周囲は日本庭園として整備)​
  • 熱帯魚館(併設施設でピラニアなどの熱帯魚を展示。地熱を活用した温室環境)
アクセス情報
名称白池地獄
住所大分県別府市鉄輪283-1(MAP
アクセスJR別府駅から亀の井バス「白池地獄前」下車すぐ
電話番号0977-66-0530​
営業時間8:00〜17:00
料金大人450円/小人200円
駐車場あり(無料)

※情報は2026年2月時点です。詳細は白池地獄公式サイトでご確認ください。

【灰色】鬼石坊主地獄──泥が生き物のように踊る

灰色の熱泥が泡立つ鬼石坊主地獄のアップ

鬼石坊主地獄では、灰色の熱泥が丸く膨らみ、破裂する様子を見ることができます。その色は、粘土鉱物を含む泥によるもので、地熱がつくりだす泥の動きが特徴です。
動画でも迫力がありますが、実際には音や振動が伝わります。​

鬼石坊主地獄の名物・楽しみどころ

  • 熱泥の間欠的噴出(灰色の熱泥が球状に膨らみ破裂する様子。粘土鉱物を含む泥が沸騰により動く)
  • 坊主地獄の由来(泥が丸く盛り上がる姿が僧侶の頭に似ていることから命名)
  • 足湯施設(敷地内に足湯あり。無料)
アクセス情報
名称鬼石坊主地獄
住所大分県別府市鉄輪559-1(MAP
アクセスJR別府駅から亀の井バス「海地獄前」下車徒歩約2分
電話番号0977-27-6655
営業時間8:00〜17:00
料金大人450円/小人200円
駐車場あり(無料)

※情報は2026年2月時点です。詳細は鬼石坊主地獄公式サイトでご確認ください。

地獄めぐりの料金と回り方について

別府地獄めぐりの7つの地獄は、それぞれが独立した観光施設です。そのため、基本的には各地獄ごとに入場料が必要です。気になる場所を1〜2か所だけ訪れる場合は、現地で個別に入場券を購入します。

一方で、7つすべてを巡る場合は「共通観覧券」の利用が一般的です。共通観覧券を購入すると、対象の7地獄にそれぞれ1回ずつ入場できます。チケットは購入日を含めて2日間有効のため、1日で回りきれなくても分けて見学することが可能です。

旅のスタイルに合わせて、

  • 気になる地獄だけを個別に巡る
  • 共通観覧券で効率よく全体を回る

という選び方ができます。

かまど地獄のシンボルの赤鬼の像

まとめ|地獄めぐりは”自然の芸術”を体感する旅

色の違いを楽しみながら、成分や地熱の仕組みにも目を向けると、地獄めぐりは単なる観光ではなく「大地の活動を体感する旅」へと変わります。

海地獄の青、血の池地獄の赤、白池地獄の青白、鬼石坊主地獄の灰色──
別府の地獄は、色そのものが特徴を持っており、どれ一つとして同じ表情をしていません。その背景には、温泉成分の化学反応、地熱の働き、光学現象といった自然の力が複雑に絡み合っています。
知識を知った上で現地を巡ると、旅の理解が深まります。

参考サイト



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